木質チップは紙と燃料のほかにもマルチング材、舗装資材、ドッグラン用材等々、さまざまな形で使われる。各種の条件を踏まえたチップ製造機(チッパー)の選び方を考える。
燃料材需要は1000万㎥台に拡大
木質チップの中で需要が著しく伸びているのが
燃料材だ。
背景にはFIT(再生可能エネルギー固定価格買取制度)の後押しを受け、木質バイオマス発電所が各地で稼働していることがある。
林野庁の木材需給表によると、国産燃料材の需要は2013年には23万㎥に過ぎなかったが、直近の2019年には693万㎥と実に
30倍以上にも拡大している。
輸入材を合わせた同年の需要は1,039万㎥と初めて1千万㎥の大台を超えた。
大型発電所の建設が相次ぐ中で、ここ数年、安定して調達できる輸入材が増加傾向だが、海外からエネルギーをかけて輸入される燃料のエコ性には疑問符も付く。
燃料は木材のカスケード利用の最終段階なので、燃やすためだけの伐採は好ましくないが、他に用途が期待できない低質材の受け皿にもなるので、
国内資源を有効利用することをまずは優先したい。
事業性をしっかり見定める
チッパー選びでは、原料の種類やチップの用途、製造現場の条件などを考慮して機種を決める必要がある。
原料には、原木、剪定枝、解体材、端材などがあり、竹を破砕しなければならない場合もある。
用途に応じて求められるチップの大きさや樹種、乾燥度合いも決まってくるので、しっかり対応したい。
製造能力はどのくらいの
事業量が見込めるかによって決まってくる。
大型のチッパーを導入しても、ろくに稼働しないのでは経営を圧迫してしまうので、ここはしっかりと見定めたい。
注意しなければならないのは、原料を安定して確保できるかどうかだ。
FITの効果で燃料材の価格は安定しており、調達しやすくはなっているが、伐採には境界確認や機材の手配などの手間がかかり、
資源量イコール生産可能量とはならない難しさがあるので注意したい。
自走式か定置式か、現場の条件で判断
機種については、自走式か定置式かを決める必要がある。
自走式もクローラータイプとホイールタイプがある。
こうした仕様は
チップ製造現場の条件を踏まえて選ぶことになり、専用ヤードに集めた原料を大量に処理する場合は、定置式が選ばれるケースが多く、伐採現場で直ちに使用する場合は、小回りの利く自走式が向く。
定置式でもトラック積載が可能なタイプもあり、それなら現場への回送も楽だ。
周辺機器を活用し品質アップ
発電や熱利用の場合は、燃焼機器の性能にチップの
乾燥度合いを合わせる必要がある。
当然だが水分が多いチップは燃料として使いづらい。
特にガス化プラントの場合は、かなり乾いた状態のチップが求められる。
こうした乾燥品質に対応するためにチップ専用の乾燥機もあるので、必要に応じて導入を検討したい。
このほか、チッパーの受け入れ径に対応するための前処理用に使われる破砕機もある。
こうした周辺機器も原料の種類やチップの用途を踏まえ、
チップをより効率的に製造し、収益率を高めるための有効なツールになる。
森林資源の有効活用を
木質チップは木材の重要な用途のひとつだが、忘れてはならないのは、まずは建築や家具などの用材利用が図られたうえでの選択肢になるということだ。
森林資源を有効活用し、林業経営を安定させるための多様な利用の一端であるという立ち位置を確認しておきたい。
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